運の分かれ目

野球に限らず、スポーツ、あるいは全ての勝負事において
(というよりも人生そのものかもしれないが)、
時の流れゆく先は、あらかじめ決まっているような気がする、、、
今年のヤンキース松井を見つづけてきて、改めてそう思ったもんである。



すべて結果論と言えば、結果論であるが、
今年の松井はハッキリ言って、悲運の年であったように思う。
細木数子に言わすれば
「大殺界の《減退》の年で・・」となるのであろうか、
とにかく今年の松井は
最後の最後に運に見放される運命だったように思う・・

今年のレギュラーシーズンを振り返ってみれば、
松井が試合前半にホームラン、あるいはタイムリー打って、
ヤンキースが途中までリードして、、という試合展開は数知れずあった。
しかし、だいたいにおいて、その後、自チームのピッチャーが打ち込まれ、
試合終盤に再び、ヤンキース打線が点を取り返して逆転・・
そのとき松井はチャンスを広げる役割はやっても、
逆転打を打つヒーローは他の誰か・・
こういう試合が今年のヤンキースの基本の流れであった。
いわば、今年、松井は「ヒーローに中々なれない」運命にあった。

松井が「メジャーリーグで日本人が30本のホームラン」
という歴史的快挙を成し遂げたときでさえも、
浴びるスポットライトの光量が今ひとつで、印象としては薄かった。
なぜなら、まったく時期を同じくして、
メジャーの安打記録を塗り替えたイチローの方に
光が集中していたからだ。
つまり、今年、松井は「間が悪い」運命にあった。

で、つい先日のレッドソックスとのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ。
下馬評レッドソックス有利で開幕した第1戦…
松井は、20勝投手シリングから、先制タイムリー、満塁一掃の2ベース。
この試合、計5打点…文句なしのヒーローと思いきや、
地元NYでは、身内の葬式を抜け出して最後を締めたリベラがヒーロー…。
やはり、今年、松井は「誰かの次」で終わる運命にあった。

そして、つい1週間前、レッドソックスに対し3勝0敗として
ワールドシリーズに王手を掛けた第3戦では、
松井は6打数5安打5打点、2ホーマーで
個人の新記録ラッシュを打ち立て、
さすがにシリーズのMVP候補と言われるまでになった。

いよいよ松井の一年間の悲運が拭い去られ、
栄光の瞬間を迎えるかに思えた…
が、やはり松井はここでも、寸前で悲運の波にのまれた。
第4戦、あと3つのアウトで、間違いなく1000%松井はMVPだったのだが、
絶対の守護神リベラが同点に追い付かれ、延長でサヨナラ負け。
以降、悪夢の4連敗で、ヤンキースそのものも敗退…
結局、今年、松井は「一番になれない」ままシーズンを終えた。

ヤンキースのトーリ監督は、昨日の記者会見で、
3勝0敗から4連敗したターニングポイントについて尋ねられ、
「第5戦、6回裏、4-2ヤンキースのリードで迎えた2アウト満塁で
松井がペドロ・マルティネスから放った右中間へのライナー」と答えてる。
それは、今年の松井すべてを象徴するものでもあった。

実は、おいらも同じく、シリーズの流れはあそこで変わったと思っていた。
なぜなら、第1戦からそこまでは、
松井の打った目の覚めるような当たりは、
すべてヒットになり、それがヤンキースの点につながっていたんである。
しかし、あの明らかにヒット性の当たりが、とうとう相手に捕られてしまった。
それまでヤンキースの勢いの象徴だった松井の
完璧な当たりがアウトになった。
それまで打ち出の小槌のように打点を量産していた
松井のバットから放たれた、火の出るようなライナーが
点に結びつかなかった。

そもそも、今年のそれまでの松井に悲運を感じてたおいらは、
そう簡単に松井がMVPになれるだろうか、と、かなり不安だったから、
あの瞬間、嫌な予感が走ったのである。
結果、予感は的中…

振り返ってみれば、勝利の女神が移り気を起した瞬間は、あそこしかない。
その証拠に、以降、松井のバットは点を生まなくなり、ヤンキースも沈んだ。
……松井が、再び悲運の波にのまれた瞬間である。
しかも、ヤンキースというチームごと巻きこんで……

あのとき、あの当たりがヒットになってれば、ヤンキースはワールドシリーズ、
松井はMVPを勝ち捕れたことは言うまでもない。
こうして、今年、松井はすべて「あと一歩足りないまま」シーズンを終えた。

それにしても悲運というのが、松井には多いというか、似合う。
甲子園での5敬遠から、巨人時代あと1本差で
ホームラン王になれないことが続いたり、
3冠王にあと一歩でなれなかったり、
今年も打率3割まであとヒット1本足りなかったり…。

しかし、そういう悲運をすべて乗り越えてきたのが松井秀喜だ。
考えてみれば、悲運だったという今年も、
東京の開幕でホームランを打ち、ヤンキースの4番に定着し、
30本以上のホームランを打ち…と、やるべきことはやってるのだ。

日本の職業野球に数名いる、ケガだなんだ、運が悪いと言っては
数試合しか出ずに、数億もらうような
5流のニセモノ達と根本的に違うのだ。
そう、運のせいにしないのが、松井秀喜の凄さであり魅力なのだ。

勝利の女神もそのことを分かって「松井くん、あなたにはまだ早いわね。
だって、もっともっと、やれるはずだもの」と、
MVPを奪ったいうことなのであろう。

来年、これまでしてきたように松井が悲運に打ち勝ち、
結果、運を味方につけ、
また一つ階段を上るのは間違いない。
来年の今ごろ、ワールドシリーズの主役を張ってる松井の姿を
「Hideki Matsui ! Excellent !!!」と絶叫するFOXTVのアナウンサーの声を
効果音に想像して、おいらは今からひとりニヤニヤしている。

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by cinema-stadium | 2004-10-23 23:51 | Comments(0)