向田邦子 「幸福」

おいらは、もともとシナリオというものを好んで読む人間ではない、、
どっちかというと苦手、、てゆうか、正直嫌いなほうである。
普通の小説の場合、心情や情景について事細かに綴ってあるんで、考えなくてもスラスラ読める(なので、シナリオのノベライズ本はOK)が、映像化を前提として、演出家に委ねる余地が含まれているシナリオって奴は中々そうはいかん、、、



セリフとト書きの関係性やら行間から、キャラの情感の機微を読み取り、最小限の情報から情景をイメージしなきゃならんので、考えることを強いられる、、おいらにとってシナリオ本は、そこがかなり面倒なんである。

要するに、立ち止まり、立ち止まり読むはめになり、異様に時間が掛かってしまう…それがイヤなんである(無論、早く読める人もいようが)、、
さらにそのストーリーそのものがつまんない場合、どうしようもないほどストレスを感じてしまう…
だから、おいらは、個人的に気になる賞を獲った作品だとか、大好きな映画のパンフにシナリオがたまたま載ってただとか、友人・知人が書いてるだとか、余程の興味がない限り、基本的にシナリオは読まない(唯一例外は、山田太一先生のシナリオだけ)。

で、そんなおいらが、はじめて向田シナリオ本を読んだ。「幸福」である、、
e0089956_056460.jpgいや、、いい!!面白い!!
ト書きの人物の立ち位置や、目線の動き、仕草の的確な描写によって、こちらに考えることを強いるまでもなく、キャラの「気持ち」が最短距離で伝わってくるし、しかも、わずかなト書きと、シンプルなセリフだけで、人物間に横たわってる微妙な艶と、そこに伴う湿り気と温度もちゃんとあぶり出してるから、もう参りましたって感じ、、
間抜けで実直なオトコどもへ優しい眼差しをおくりながら、そのすべてを司るオンナの業の逞しさ、醜さまで愛おしく描き抜いた、その有無も言わせぬ筆力たるや、、、
昔のテレビドラマがいかにオトナだったか、最近の頭の悪いテレビドラマたちとの質の差を、改めて感じてしもたね。
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by cinema-stadium | 2006-04-06 01:00 | Comments(0)