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■間宮兄弟(H)

at チネチッタ4    2006 5/14

オイラはもともと森田芳光が大嫌いである。でも、この作品は予告のヌレーッとした雰囲気が結構好きだったので、なんとなくフラッと観に行った。

江國原作は読んだことないから、原作を持ち出してどうのこうのという資格ないけど、森田の演出トーン的には、どちらかと言えば、「家族ゲーム」と「キッチン」の間(あいだ)に近いというか(それに「ウホッホ探検隊」も加えたような、、)、、
■間宮兄弟(H)_e0089956_1492831.jpgそうなんす、全然イヤでなかった頃の、森田タッチにかなり近く、最近の森田作品のイヤな匂いがまったくなく、予告で期待したものがそのまま観れて、久しぶりに森田映画で不快な気分に一切ならなかった(、、でも、期待以上のものがなかったのも、また事実だけど、、)

「家族ゲーム」や「キッチン」も、似たようなヌレーッとしたところが好きだったが、少なくとも、あの頃の森田演出は、ヌレーッとしていながらもスリリングなものを秘めていて(わかりやすい例を挙げれば、「家族ゲーム」最後の夕食壊滅シーン)、そこが80年代の時代感と妙にマッチしてスゴく新鮮に感じたものだ。
で、今回の「間宮兄弟」…同じくヌレーッとしてるけど、残念ながら、プラスアルファのサムシングは感じなかった。ナマイキだけど、明らかに森田の演出のキレは落ちたなぁと、そう思た(彼のキレのあった時代の作品を知るモノとしては、次の演出〈何やるか〉がラクに読めてしまうんである)。
最後までヌレーッとしたまま終わる、、逆にそれが心地イイという人も居ようかとも思うが、個人的にジャームッシュの〈間(ま)〉の美学「ブロークン・フラワーズ」を観た後じゃ、底が浅く感じられて仕方なかった、、というのが正直なトコ。

でも嫌いな作品ではない、、明らかに映画としては「阿修羅のごとく」よりはるかに落ちるが、好き嫌いで言ったら「阿修羅」よりはるかに好きである。カメラの後ろで「俺って才能あるだろ」みたいな顔してる森田の顔が、今回はさほどチラつかなかったからだ。むしろ「それだったら、昔のお前のほうが巧く撮れたんじゃないの?」みたいに感じてしもた部分が結構あって、なんかそこらが逆に可愛く思えたんである(すげぇ横柄な言い方、、)。

だからだろうか、愛らしい沢尻エリカを、あと一つその可愛さを弾けさせることのできない焦れったさはあったけど、案外、常磐貴子(今回よかった)の扱いと均等にするために、あえてそうしたんだろうか、とか結構あったかい目で観てしまったりして、、
ドランクドラゴンの塚地とやらがイイ味出してるし、彼と常磐貴子の間の距離感の描き方や、二人の勤務する小学校の空気がやたら懐かしかったし、、

うん、結局、森田への嫌悪感がだいぶ和らいだ作品と言っておきましょう。


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by cinema-stadium | 2006-05-15 01:53

スタジアム管理人凹貞治


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