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奥田英朗「邪魔」

「最悪」で、おいらを狂喜乱舞させた奥田英朗の
2001年の小説である。
連休期間のクマモトへの帰省の際に、
文庫の上下巻を持って行ったのだが、
一気に読み干してしもた・・おかげで睡眠時間は奪われたけど。



いやあ、面白いのなんの、、、「最悪」もそうだったけど、
どこにでもいそうなオバサンやアンチャンが、はじける瞬間を
よくもまぁ、ここまで見事に活写できるもんだと、
ホント感心しちまう・・奥田氏の筆力は、おいらの中では昨今の奇跡ですな。

瞬間がはじけて見えるには、当然その前後のプロセスで決まるんであるが、
そのリアリティのスゴさたるや、、まるで山田太一先生、、
って思って読んでたら、なんと誰かが後書きで
「奥田は山田太一作品をテレビ,小説に関わらずもっとも好む」と触れていた、、

まさに、なるほど、である、、
こんな気持ちの良いくらい合点がいったのは久々である。
はっきり言って、山田太一先生が、あの山田世界のリアリズムで
ジェットコースター的エンターテインメントに挑んだら、
きっとこうなるだろうな、という世界が奥田ワールドなんである。

「最悪」があまりに面白過ぎたんで、正直、「邪魔」の前半は
群像キャラが妙にパラついてる印象だったが、どうして、どうして
中盤以降、各キャラが接点を持って
ジェットコースターが加速しだしてからは、もう一気である、、
寝る間も惜しいくらい先を読みたくなる・・

なんとも爽快さと苦さの入り交じった後味も、
おいらは愛しくてたまらない・・

宮部女史の「誰か」や貴志祐介の「硝子のハンマー」に
失望してた直後だっただけに、
余計に面白さが際立ったね、おいらにゃ・・
by cinema-stadium | 2005-09-26 01:13

スタジアム管理人凹貞治


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